本書の特徴
木曽義仲は英雄である。しかし世間には木曽義仲は乱暴者、暴れん坊将軍、逆賊とする通説(俗説)がはびこっている。これは『平家物語』やその解説者および現代の小説家による捏造(作り話)の影響が大きいが、その他に京都の公家の日記『玉葉』の誤解も影響している。
最近「義仲と巴」をNHKの大河ドラマにという運動が起きているが、NHKのドラマ関係者の義仲は乱暴者というイメージを取り除かなければ無理だろう。
『平家物語』以外の史料を分析して、木曽義仲の京都での乱暴狼藉説は捏造(作り話)であると判断し、『史学義仲』に論文として発表した。
しかし会員の一部から二度も繰り返し読んだが良くわからないという話を聞いた。そこで、その解説書を『朝日将軍木曽義仲洛中日記』として出版した。しかし厳密さを強調するため引用文を多めにしたので初心者にはやや難しいようである。
そこで本書はやや厳密さを欠くが、わかりやすさを基本とし、筆者の推定(独断と偏見)を加えた裁判形式の読み物としてみた。ぜひ『朝日将軍木曽義仲洛中日記』や『史学義仲』も読んでいただきたい。〈「まえがき」より〉